外角低めな経営道

キツめの記事を書いてます。

時給換算で価格を決める人は儲からない

価格を決める時。
見積をする時。
時給換算で金額を決める人が非常に多い。
これでは儲からない。
おそらく10年頑張ってもたいした資産は残せないだろう。
なぜか?

逆から考えていこう。
時給換算で金額を決めてしまうと儲かる方法が一気に限られてくる。

1.高単価な時給を設定する
2.大量の仕事を獲得し、大量の労働力を確保して対応する
3.低時給の労働力を確保して対応する

ざっとこんなものだ。
次に各項目の現実を解説する。

1について。
高単価を設定するのは非常に難しい。
優秀な人材は貴重なので多くを確保することが難しい。
また優秀な人材にはそれ相応の報酬が必要となるので、高単価で稼いでも高単価な報酬が必要となる。

2について。
大量の仕事を獲得することも非常に難しい。
また獲得するためのコストも量に比例して高くなる。
大量の労働力を確保するのも同様に量に比例してコストが高くなる。

3について。
1と2が難しいという現実の結果、多くの場合は低時給の労働力を確保しようという方向へ向かいはじめる。
そして、競合達との価格競争へと突入し、さらに値下げ、賃下げを繰り返すという負のスパイラルが回りはじめる。
また低時給の労働者というのは管理コストが高く、労働者を管理するための労働力にも悩まされることになる。

ちなみに、正社員であれば最低でも時間単価で粗利4000円を稼ぐ必要がある。
粗利6000円でやっと一人前。
粗利8000円稼ぐことができれば、十分な社会保障と給与を支払うことができるレベルになる。
高単価というレベルになると粗利10000円以上になるだろう。

さて、話を本題に戻そう。
それでは、儲かったと実感できるようになるためにはどうしたら良いのか?
それは商品やサービスの価格を時給換算で計算するのではなく「可能な限り高く買ってもらう」という一点に尽きる。
本来、商品やサービスの価格は「買って欲しい金額」を現実的な範囲でつけるべきなのだ。

高く買ってもらうというのは簡単なことではない。
だから、多くの経営者が「安くしてたくさん売ろう」という簡単な手法を選んでしまうのも無理はない。
しかし、薄利多売は大手の専売特許。
スケールメリットの暴力を振りかざす大手との価格戦争は自殺行為と言っても良い。
高く買ってもらうことが難しいから、多くの経営者が安売合戦のドロ沼にハマっていくのだ。

賢い中小企業の経営者は安売をしない。
その代わりに自社の商品、サービスにありとあらゆる付加価値を盛り付けようとする。

一定のニーズを強く満たすように特化する。
商品の見た目を整え、印象を良くする。
販売、提供する担当の教育をする。
アフターフォローを強化する。
自己顕示欲を満たすステイタス間を演出する。
他の商品、サービスと連携できるようにする。
コミュニティーを提供して顧客を会員化する。

方法は様々だが多岐に渡る戦略の元、付加価値を創造しまくる。
こうやって、金額や数値には表れないパラメータを上げていくのだ。

時給換算で金額を決める以上、いつまで経っても「売上と人件費の差額」で利益を上げることになる。
この場合、規模(従業員)を大きくするといつか収拾がつかなくなる。
しかし、その時には既に後戻り(リストラ・倒産)はできない。
必死で自転車(営業・納品)を漕ぎ続けることになる。

このように時給換算から生まれるのは自転車操業ビジネスだ。