現状維持は実質後退
本来、現状を維持するということは、現在の位置付けを保つということだ。
決して、現在の位置で立ち止まるということではない。
しかし、現状維持思考を持つ人の多くは、現在の位置で立ち止まっているだけのように思える。
それに対して、世の中は立ち止まらない。
世の中のほぼ全てのことは変化していく。
その変化についていけないものは、置いて行かれる。
つまり、その場に居続けるというのは、世の中の変化に対して実質的に後退しているということだ。
現状を維持するためには、最低限、世の中の変化に対応しなければいけない。
書いてしまえば簡単なことのように思えるのだが、これがなかなか難しい。
多くの人は新しい業務やその作業処理方法を覚えることを嫌う。
今のままが一番良い。
新しいことを苦労して覚えるのは嫌だ。
変化など要らないし、変化してもらっては困る。
だから、多くの人は現状維持すらできていない。
現状を維持している風で実質後退だ。
パソコンの事務作業を年のせいにして逃げる。
資格の取得や学習を推奨されても帰ったらすぐゲームに向かう。
ミスして怒られても酒を吞んだらすぐに忘れる。
大きな弱点を指摘されても心にすら届かない。
こんな人が増えてきたから45歳以上リストラ祭が全国で発生するわけだ。
中年になっても一人前になれない人達。
これは現状維持思考が普及したことも大きな要因になっている気がする。
成長を強制するための手法の多くは世間から叩かれ消えていった。
些細な叱咤もパワハラだなんだと騒がれる。
成長チャンスである若い頃の学習的な残業修行もブラックだなんだと騒がれる。
結果、叱咤と激励の使い分けを知らない上司が増え、ここ一発の時にエネルギーを爆発させて結果を出せる部下が減る。
貧弱な「ゆとり環境」に慣れ切った人は成果を出せない日々が慢性的に続く。
慢性的に成果を出せない「ゆとり族」は、何かを悟ったかのように「さとり族」へと進化していく。
これが誤った現状維持思考の結末だ。